「しきい値」で何ができる?
ひと言で解説
「しきい値」は、映像のピクセルの明るさをもとに、画像を白と黒の2色にパキッと変換できるシンプルなエフェクトです。
単体でスタイリッシュな表現を作るだけでなく、他のエフェクトと組み合わせて高度な合成の土台を作ることも得意な、まさに「縁の下の力持ち」的な存在です。
こんな人におすすめ
- 撮影した動画を、一瞬でイラストや漫画のような雰囲気にしたい
- 映像の中から、特定の明るさの部分だけを抜き出してマスクとして利用したい
基本情報
各種対応状況
・マルチフレームレンダリング:○
・GPUアクセレーション:×
・カラー:8bit,16bit,32bit
エフェクトの場所
エフェクト&プリセット > スタイライズ > しきい値
主要なパラメータ解説
パラメータは一つだけ
1. レベル
このパラメータが、白と黒を分ける境界線(しきい値)となる明るさを決定します。
設定した「レベル」の値(0〜255)より明るいピクセルはすべて白に、暗いピクセルはすべて黒に変換されます。
- 値を小さくする(0に近づける) → 白い部分が増える
- 値を大きくする(255に近づける) → 黒い部分が増える


実践的な使い方(簡単チュートリアル)
ここでは、撮影した動画に「しきい値」を適用し、白黒のバランスが変化するアニメーションを作成する手順を解説します。
本来このような使い方はしませんが、これまでこのブログではこの項目を入れているので便宜上作成しております。
まず、コンポジションにアニメーションさせたい動画や画像素材を配置します。
次に、そのレイヤーを選択した状態で、「しきい値」を適用します。
エフェクトコントロールパネルに表示された「しきい値」の「レベル」の数値をドラッグして、どのくらいの白黒バランスがイメージに近いかを探ります。
この段階ではまだアニメーションはしません。
「レベル」の値にアニメーションをつけます。
- 再生バーをアニメーションの開始位置に合わせます。
- エフェクトコントロールパネルで、「レベル」の左側にあるストップウォッチのアイコンをクリックします。これでキーフレームが打たれ、アニメーションが開始されます。
- 再生バーをアニメーションの終了位置に動かします。
- 「レベル」の値を変更します。すると、その位置に自動でキーフレームが追加されます。
応用テクニック・組み合わせの例
他のエフェクトとの組み合わせ
ブラー(ガウス)と組み合わせる
「しきい値」を適用する前に ブラー(ガウス) を軽くかけると、色の境界が曖昧になり、結果として白黒の境界線が滑らかになります。手書きのイラストのような、少し柔らかい表現にしたい場合におすすめです。


トライトーンと組み合わせる
「しきい値」で白黒にした後に 色調補正 > トライトーン を適用すると、白と黒の部分をそれぞれ好きな色に置き換えることができます。セピア調にしたり、サイバーな配色にしたりと、作品のトーンを手軽にコントロールできます。

テクニカルな使い方
高精度な「マスク(マット)」の生成
これが最も実用的で多用される使い方の一つです。
映像の特定の明るさの部分だけを、クッキリと抜き出したい場合に使います。
空を別の空に差し替えたい時。
- 元の映像を複製し、複製したレイヤーにしきい値を適用。
- 空が真っ白に、それ以外の建物などが真っ黒になるように「レベル」を調整する。
- この白黒レイヤーを、元の映像の「トラックマット(ルミナンスキーマット)」として設定する。
- 結果として、空の部分だけが正確に切り抜かれた状態になり、その下に新しい空の映像を置けば、空の合成ができます。
雑コラみたいですが、例を一応貼っておきます…笑

まとめ
「しきい値」の要点
- 「しきい値」は、映像を白と黒の2階調に変換するシンプルなエフェクト。
- たった一つの「レベル」パラメータで、白黒のバランスを直感的に調整できる。
- トラックマットとして使用すれば高度な合成にも対応可能。
こんなシーンで使える!
- ミュージックビデオで、実写映像をスタイリッシュなアニメーションに変化させたい時
- タイトルアニメーションの背景として、印象的なモノクロパターンを作りたい時
- 空を別の合成素材と差し替えたいとき
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