グローで何ができる?
ひと言で解説
「グロー」は、レイヤーの明るい部分を基準に、発光しているような効果(光彩)を加えることができるエフェクトです。
こんな人におすすめ
- テキストやロゴをかっこよく光らせたい
- 夜景のネオンやライトをより印象的にしたい
- 映像全体にふんわりとした幻想的な雰囲気を加えたい
- SF映画のようなビームや魔法のエフェクトを作りたい
AE標準エフェクトの中で、利用機会が非常に多いエフェクトです。
ただ、有料プラグインである「Deep Glow」を導入されている方も非常に多いです。
ここでは、標準のグローについて解説します。
基本情報
各種対応状況
・マルチフレームレンダリング:○
・GPUアクセレーション:○
・カラー:8bit,16bit,32bit
エフェクトの場所
エフェクト&プリセット > スタイライズ > グロー
主要なパラメータ解説
グローエフェクトを使いこなす鍵は、これらのパラメータを理解することにあります。
一つずつ見ていきましょう。
【基本調整】光の範囲と強さを決める
まずはグローの基本となる最も重要なパラメータです。
1. グロー基準
カラーチャンネル: レイヤーの色の明るさ(輝度)を基準に光らせます。ほとんどの場合はこちらを選択します。
アルファチャンネル: レイヤーの不透明度を基準にします。透明な部分と不透明な部分の境界線(輪郭)を光らせたい場合に有効です。


2. グローしきい値
どのくらいの明るさの部分を光らせるか、その境界線(しきい値)を決めます。
値を小さくするほど、より暗い部分まで光るようになり、全体がぼんやりと光ります。
値を大きくすると、非常に明るい部分だけがピンポイントで光ります。
最初に調整すべき最重要パラメータです。


3. グロー半径
光がどのくらい広がるか(拡散範囲)を調整します。値を大きくすると、ふんわりと柔らかい光になります。


4. グロー強度
文字通り、光の強さ・明るさを調整します。値を大きくするほど、光は明るく、強烈になります。アニメーションでじわっと光らせたい場合など、キーフレームを打つことが多いパラメータです。
【合成方法】元のレイヤーとの重ね方を決める
次に、生成したグローと元のレイヤーをどうやって合成するかを設定します。
5. 元を合成
元のレイヤー(エフェクト適用前の画像)とグロー効果をどのように重ねるかを設定します。
後ろ: これがデフォルト設定です。元のレイヤーの後ろにグローを配置します。元の画像はくっきりと表示されたまま、背後から光が漏れているような「後光」や「バックライト」のような、自然で使いやすい表現になります。
上: 元のレイヤーの上にグローを重ねて表示します。元の画像の輪郭やディテールにもグローが重なるため、全体が少し明るく、滲んだような印象になります。
なし (None): 元のレイヤーを非表示にし、生成されたグロー効果のみを表示します。グロー成分だけを抽出して、より高度な合成や調整を行いたい場合に非常に便利です。
6. グロー操作
Photoshopなどの描画モード(ブレンドモード)と同じ考え方で、グロー効果の重ね方を決めます。
- 追加 (Add): 色を単純に足し合わせるため、非常に明るく、白飛びしやすい強い光になります。
- スクリーン (Screen): 「追加」よりも自然で柔らかい光になります。白飛びを抑えたい場合におすすめです。デフォルトは「追加」ですが、「スクリーン」の方が扱いやすい場面も多いです。


【色の設定】光の色をカスタマイズする
グローの色を細かく設定するためのパラメータです。
7. グローカラー
光の色をどうやって決めるかを選択します。
元のカラー: 光源(元のレイヤーの明るい部分)の色をそのまま使って光らせます。青いテキストなら青く、赤い図形なら赤く光ります。
A&Bカラー: 下記の「カラーA」「カラーB」で指定した2色を使って、オリジナルの色の光を作ります。炎のように、中心が白く外側がオレンジ色に光る、といった表現が可能になります。
8. カラー A & カラー B
機能の解説: 「グローカラー」で「A&Bカラー」を選択した時のみ有効になります。光のグラデーションを構成する2色をここで指定します。
- カラーA: 光の最も明るい中心部の色。
- カラーB: 光が減衰していく外側の色。
9. A & B 中間点
カラーAとカラーBのグラデーションの境界線をどこにするか調整します。値を小さくするとカラーAの範囲が広がり、値を大きくするとカラーBの範囲が広がります。
【色の変化】色のアニメーションを作る
光の色を時間で変化させたりする場合に使います。
10. カラールーピング
光の色がどのようにループするか(循環するか)のパターンを選びます。
- 三角形 A>B>A (Triangle A>B>A)
色がカラーAからカラーBへ滑らかに変化し、頂点(カラーB)に達すると、今度はカラーAへ向かって滑らかに戻ってきます。
行ったり来たりの、スムーズな往復運動のような色の変化です。 - 三角形 B>A>B (Triangle B>A>B)
上記とは逆に、カラーBからカラーAへ滑らかに変化し、頂点(カラーA)からカラーBへ滑らかに戻ります。
開始点と終了点がカラーBになるバージョンです。 - のこぎり波 A>B (Sawtooth A>B)
色がカラーAからカラーBへ向かって一方向に変化し、カラーBに達した瞬間に、パッと瞬時にカラーAに戻り、また同じ変化を繰り返します。
「のこぎりの歯」のように、急にリセットされる動きが特徴です。 - のこぎり波 B>A (Sawtooth B>A)
上記とは逆に、カラーBからカラーAへ一方向に変化し、カラーAに達した瞬間にパッと瞬時にカラーBに戻ります。
11. カラーループ
色のサイクルを何周させるかを数値(1.0〜10.0)でコントロールします。このパラメータはキーフレームを打つことでアニメーションを制御します。
12. カラーフェーズ
色のサイクルの「開始位置」を角度で決めます。アニメーションさせない状態でも、この角度を変えるだけでグローの色を調整できます。色のサイクルの基準点(オフセット)です。
【その他】光の方向を決める
13. グローの方向
機能の解説: 光が拡散する方向を指定します。
- 水平および垂直 (Horizontal & Vertical): デフォルト設定。上下左右、全方向に光が広がります。
- 水平方向のみ (Horizontal): 左右にだけ光が広がります。横に流れるような光の表現に使えます。
- 垂直方向のみ (Vertical): 上下にだけ光が広がります。


実践的な使い方(簡単チュートリアル)
簡単なテキストをネオンサインのように光らせる手順を解説します。
新規コンポジションを作成し、テキストツールでお好みの文字を入力します。
背景は黒などの暗い色にしておくと、光が分かりやすくなります。
作成したテキストレイヤーを選択し、メニューから「グロー」を適用します。
まず、「グローしきい値」を調整します。テキストが白の場合、初期設定(60%)でも光りますが、少し値を下げてみましょう(例:45%)。テキスト全体がはっきりと光り始めます。
次に「グロー半径」を大きくして(例:30)、光を広げます。そして「グロー強度」を少し上げて(例:1.5)、光を強くします。これだけで、基本的な発光テキストが完成です。
「グロー強度」のストップウォッチアイコンをクリックしてキーフレームを有効にします。
- 0秒 の位置で強度を 0 に
- 1秒 の位置で強度を 1.5 に これで、1秒でじわっとテキストが光り出すアニメーションが作れます。
応用テクニック・組み合わせの例
他のエフェクトとの組み合わせ
グローの重ねがけ(非常にオススメ!)
よりリッチな光を表現するための定番テクニックです。
- 一つ目のグローは「グロー半径」を大きく設定し(例:100)、広範囲の淡い光を作ります。
- エフェクトコントロールパネルで「グロー」を選択し、
Ctrl+D
(MacはCmd+D
) で複製します。 - 二つ目のグローは「グロー半径」を小さく設定し(例:10)、輪郭をはっきりと光らせる「光の芯」を作ります。 これにより、単体のグローよりも深みのある、リアルな光彩表現が可能になります。
まとめ
グローの要点
- グローは、レイヤーの明るい部分を基準に発光させるエフェクト。
- まずは「しきい値」「半径」「強度」の3つのパラメータを調整するのが基本。
- より高品質な光を目指すなら「グローの重ねがけ」が非常に効果的。
- アニメーションや他のエフェクトと組み合わせることで、表現の幅が無限に広がる。
こんなシーンで使える!
- モーショングラフィックス: タイトルロゴやテロップを目立たせる。
- VFX: 魔法、ビーム、爆発などの非現実的な光の表現。
- 実写合成: 夜景のネオンを強調したり、車のヘッドライトをより明るく見せる。
- カラーグレーディング: 映像全体に薄くかけることで、ハイライト部分を滲ませ、ドリーミーで幻想的な雰囲気を演出する。
非常に汎用性が高く、知っているだけで表現のクオリティを一段階上げてくれる便利なエフェクトです。
積極的に活用していきたいですね。
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