モザイクで何ができる?
ひと言で解説
「モザイク」は、映像や画像を四角いブロック状に分割して、ドット絵やピクセルアートのような表現を作り出したり、部分的なぼかしとして活用できるエフェクトです。
こんな人におすすめ
- 映像の一部を隠してプライバシーを保護したい
- レトロゲームのようなドット絵風の映像を作りたい
- テキストやロゴをブロック状に登場させたり、消したりするアニメーションを作りたい
- 映像をあえて粗くして、抽象的なアート表現に加工したい
活用方法が、隠したりするだけじゃない!
というのが、AfterEffectsのモザイクです。
基本情報
各種対応状況
・マルチフレームレンダリング:○
・GPUアクセレーション:×
・カラー:8bit,16bit
エフェクトの場所
エフェクト&プリセット > スタイライズ > モザイク
主要なパラメータ解説
重要なパラメータについて
1. 水平ブロック / 垂直ブロック
レイヤーを水平・垂直方向にそれぞれ何個のブロックに分割するかを設定します。
この数値が小さいほどブロック一つ一つが大きくなり(粗いモザイク)、大きいほどブロックが小さく(細かいモザイク)なります。
元の映像に近づけたい場合は、この数値を大きくします


2. シャープカラー
チェックを入れると、各ブロックが単一の色で塗りつぶされます。
これにより、ドット絵のようなくっきりとした印象になります。
チェックを外すと、各ブロック内の色が滑らかにブレンドされ、少しぼやけたようなソフトな印象になります。


実践的な使い方(簡単チュートリアル)
ここでは、「モザイク」を使ってテキストがピクセル状に現れるアニメーションを作成する方法を解説します。
コンポジションにテキストを配置します。
エフェクト&プリセットパネルで「モザイク」を検索し、レイヤーに適用します。
アニメーションの開始地点(例えば0秒)で、エフェクトコントロールパネルの「水平ブロック」と「垂直ブロック」の値を「10」などの小さい数値に設定し、ストップウォッチアイコンをクリックしてキーフレームを打ちます。
この時点ではテキストは粗いブロック状になっています。
次に、アニメーションの終了地点(2秒)に時間インジケーターを移動させます。
「水平ブロック」と「垂直ブロック」の値を、テキストがはっきり読めるくらい大きな数値(500)に変更します。キーフレームが自動的に打たれます。
打った2つのキーフレームを選択し、
右クリック > キーフレーム補助 > 「イージーイーズ」を適用します。
(ショートカット:F9)
これだけで、モザイクが晴れていく動きが滑らかになります。
これで、テキストがドットの状態から徐々にクリアになっていくアニメーションの完成です!
応用テクニック・組み合わせの例
「フラクタルノイズ」でテキストのエッジを複雑に
STEP 1: レイヤーの準備(3階建て構造を作る)
まず、必要な3つのレイヤーを準備します。順番が非常に重要です。
- モザイクをかけたい映像を用意
- 動画や画像、テキストなど、モザイクをかけたい素材をタイムラインに配置します。これを「元テキストレイヤー」とします。
- 映像レイヤーを複製する
- タイムラインで「元テキストレイヤー」を選択し、Ctrl+D(Cmd+D)を押して複製します。
- 複製して上にできたレイヤーを「モザイク用レイヤー」と名付けます。
- この「モザイク用レイヤー」にモザイクを適用します。この時点では、画面全体がモザイクになります。 (※水平・垂直ブロックの数値を調整して、お好みのモザイクの粗さにしておきましょう)
- ノイズの設計図(マット)を作成する
- レイヤー > 新規 > 平面… を選択し、コンポジションと同じサイズの平面を作成します(色は黒でOK)。
- 作成した平面レイヤーを一番上に配置し、「ノイズマットレイヤー」と名付けます。
- この「ノイズマットレイヤー」にフラクタルノイズを適用します。
この時点で、タイムラインは下から「元テキスト」「モザイク用」「ノイズマット」の3階建てになっているはずです。

STEP 2: フラクタルノイズ(設計図)の調整
次に、一番上の「ノイズマットレイヤー」を調整して、白と黒がはっきりした模様にします。
- 「ノイズマットレイヤー」を選択しエフェクトコントロールパネルでフラクタルノイズの設定を開きます。
- コントラスト : 500程度まで上げて、白と黒の差をくっきりさせます。
- 明るさ : 好みの値に調整し、モザイクを表示させたい量(白の面積)を決めます。今回は60程度にします。
- 展開 : このノイズ模様をアニメーションさせます。
- Altキー(MacはOptionキー)を押しながら「展開」のストップウォッチアイコンをクリックします。
- タイムラインに表示されるエクスプレッション入力欄に
time*200
と入力します。これで時間と共にノイズが自動で動くようになります。

STEP 3: トラックマットの設定(最重要ポイント)
3つのレイヤーを連携させます。
タイムラインパネルの左下にある「スイッチ / モード」ボタンを押して、「トラックマット」の項目を表示させます。(すでに表示されている場合は不要)
真ん中にある「モザイク用レイヤー」の「トラックマット」列にあるドロップダウンメニュー(「なし」と表示されています)をクリックし、マットとして使用する「ノイズマットレイヤー」を選択します。
すぐ右隣に表示されるアイコンをクリックして、マットの種類を切り替えます。今回は白黒の明るさを使うので「ルミナンスマット」を選択します。(アイコンを何度かクリックすると「アルファマット」「ルミナンスマット」に切り替わります)

この設定により、「モザイク用レイヤー」は、すぐ上にある「ノイズマットレイヤー」の明るさ(ルミナンス)を元に表示されるようになります。
設定が完了すると、「ノイズマットレイヤー」の目玉アイコンが自動的に消え、キャンバスには「元テキスト」の上に、ノイズの形に「モザイク用レイヤー」が乗った状態が表示されます。
これで完成です!
少し複雑な装飾をテキストに加えることができました。
まとめ
モザイクの要点
- 「モザイク」は、映像をシンプルなブロック状に分割するエフェクトです。
- 「水平/垂直ブロック」の数値で、モザイクの粗さをコントロールします。
- キーフレームを使ってブロック数を変化させることで、登場・退場アニメーションが簡単に作れます。
こんなシーンで使える!
・プライバシー保護: インタビュー映像での人物の顔や、風景映像の車のナンバープレート隠しに。
・タイトルアニメーション: ロゴやテキストがブロック状に集まって形成されるオープニングに。
・トランジション: あるシーンから別のシーンへ、一度モザイクになって切り替わる場面転換に。
非常にシンプルながら、アイデア次第で多様な使い方ができる便利なエフェクトです。
ぜひあなたの作品に取り入れてみてください!
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