ラフエッジで何ができる?
ひと言で解説
「ラフエッジ」は、レイヤーの輪郭(エッジ)をギザギザにしたり、ざらつかせたりして、アナログ感や有機的な質感を加えることができるエフェクトです。
After Effectsの標準エフェクトの中でも、特に登場頻度が高いエフェクトの一つです。
こんな人におすすめ
- テキストやシェイプを、温かみのある手書き風に見せたい
- 紙にインクがにじむような表現を作りたい
- グランジ(汚し)加工で、デザインに味を加えたい
基本情報
各種対応状況
・マルチフレームレンダリング:○
・GPUアクセレーション:○
・カラー:8bit,16bit,32bit
エフェクトの場所
エフェクト&プリセット > スタイライズ > ラフエッジ
主要なパラメータ解説
重要なパラメータについて
使用頻度が高いパラメータを解説します。
1. エッジの種類
ギザギザの見た目のスタイルを変更できます。
- ラフ: 標準的で最も使いやすいギザギザです。
- ラフ&カラー: 「ラフ」の効果を、レイヤーのカラー情報に基づいて適用します。色の濃い部分がより強く影響を受け、インクのにじみのような表現に適しています。
- カット: 直線的に切り取ったような、シャープなエッジになります。ガラスの破片のような表現にも使えます。
- スパイキー: トゲトゲした鋭い形状になります。
- さび: 錆びた金属のように、より複雑で粗い質感になります。グランジ感を出すのに最適です。
- さび&カラー: 「さび」の効果を、レイヤーのカラー情報に基づいて適用します。
- フォトコピー: コピー機で何度も複製したような、トナーがかすれたり潰れたりしたような独特のエッジを表現します。
- フォトコピー&カラー: 「フォトコピー」の効果を、レイヤーのカラー情報に基づいて適用します。
エッジの種類一覧(クリックで拡大できます)








2. 縁
ギザギザの幅を調整します。
数値が大きいほど、輪郭から外側(または内側)に大きくざらつきます。
最も基本的なパラメータです。


3. スケール
ギザギザ模様の大きさを調整します。
数値を小さくすると細かく、大きくすると大ぶりな模様になります。


4. 複雑度
ギザギザ模様のディテールの量を調整します。
数値を上げると、模様がより細かく複雑になります。
通常は1〜3程度で十分ですが、最大10まで設定できます。


5. 展開
ギザギザの模様を変化させます。
このプロパティにキーフレームを打ったり、
エクスプレッションを適用したりすることで、
インクのにじみが動くようなアニメーションを作成できます。
実践的な使い方(簡単チュートリアル)
「テキストがうにゅうにゅしながらじわっと現れるアニメーション」を作ってみます。
お好きなテキストを入力し、
そのテキストレイヤーにエフェクト > スタイライズ > ラフエッジを適用します。
アニメーションを開始したい時間(0秒)に再生ヘッドを合わせます。
「縁」の値を、テキストが完全に見えなくなるくらい大きく設定します(120)。
ストップウォッチアイコンをクリックしてキーフレームを打ちます。
アニメーションを終了したい時間(01:10)に再生ヘッドを移動します。
「縁」の値を0にします。
これで、大きなにじみが徐々に小さくなってテキストが現れるアニメーションの基本ができました。
にじみが動いている感じを出すために、「展開」をアニメーションさせます。
0秒の再生ヘッドで、「展開」のストップウォッチアイコンをクリックします。
01:10の再生ヘッドで、「展開」のダイヤルを1〜2周させます( 2x+0.0°
)。
これで、にじみがうごめきながらテキストが現れるようになります。
最後に、好みの質感になるように「スケール」や「複雑度」を調整します。
今回は「スケール」を少し小さめに、「複雑度」を2〜3に設定しています。
応用テクニック・組み合わせの例
他のエフェクトとの組み合わせ
ドロップシャドウの応用
エフェクトの「ドロップシャドウ」をグローのように使うテクニックです。
影の色を白や黄色などの明るい色に設定し、
「距離」を0に、「柔らかさ」を調整(今回は63)することで、擬似的なグロー表現が作れます。
ドロップシャドウはレイヤーの形状に作用するため、ラフエッジと非常に相性が良いです。

タービュレントディスプレイス
ラフエッジで輪郭を崩し、
さらにタービュレントディスプレイスで歪みを加えることで、
複雑な動きを作り出せます。
ラフエッジの後に適用するのがポイントです。
映画「セブン」のOPみたいですね!

エクスプレッションとの組み合わせ
timeで自動アニメーション
展開のストップウォッチを Alt (Macは Option) キーを押しながらクリックし、表示された入力欄に time*100
と入力します。
これだけで、再生中ずっとギザギザが動き続けるアニメーションが完成します。
wiggleでランダムな動き
縁に wiggle(8, 30)
のように入力すると、
縁の幅がランダムに変化し、脈打つような、不安定に揺らぐような表現が作れます。
まとめ
ラフエッジの要点
- ラフエッジはレイヤーの輪郭をギザギザにするエフェクト。
- 「縁」でギザギザの幅、「スケール」で模様の大きさを調整する。
- 「展開」をアニメーションさせるのが、活きた表現を作るカギ。
- 「ドロップシャドウ」や「タービュレントディスプレイス」と組み合わせると表現の幅が大きく広がる。
こんなシーンで使える!
- 温かみのある手書き風タイトルアニメーションに
- インクや絵の具が染みるようなトランジション(画面切り替え)に
- 地図の海岸線や古いフィルムの境界線のような質感表現に
ラフエッジはAfter Effectsで登場頻度の高いエフェクトです。
他にも応用パターンはたくさんあると思います!
思いついたら追記していきます!
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