ドロップシャドウ|レイヤースタイルとの違いと、影でつくる読みやすさ・奥行き

遠近:ドロップシャドウ。影でつくる読みやすさと奥行き、レイヤースタイルとの使い分け。

ドロップシャドウは、文字や図形の後ろに影を付けるエフェクトです。背景の上でテロップを読みやすくしたり、カードが少し浮いているように見せたりできます。今回はエフェクト版とレイヤースタイル版の違いも、同じ素材を回転・拡大した動画で見比べます。

この記事で使用したAEプロジェクトを無料ダウンロードできます。ダウンロードは記事の最後から。

左は影なし、右はエフェクト版の影あり。影の距離を4→36→4へ動かしています。6秒・音声なし。
目次

ドロップシャドウはどこにある?

エフェクト版はエフェクト → 遠近 → ドロップシャドウから追加します。設定場所はエフェクトコントロールです。レイヤースタイル版は、対象レイヤーを選び、レイヤー → レイヤースタイル → ドロップシャドウから追加。設定はタイムラインの「レイヤースタイル」内にあります。

作例はAfter Effects 26.5、8bpc、1280×720px・30fps・6秒。通常の2Dプリコンポーズレイヤーを使い、折りたたみ変換はOFFです。カメラ・ライト・3Dレイヤーは使っていません。

レイヤースタイル版との違い:回転・拡大で見比べる

同じカードを0→45→0°に回転、100→130→100%に拡大。影の設定値は動かしていません。左はエフェクト版、右はレイヤースタイル版です。

大きな違いは、レイヤーの変形に対して、いつ影を付けるかです。今回の左側では、カードに付いた影も一緒に回転・拡大します。右側では、回転・拡大したカードへ影が付くため、画面に対する影の方向や距離が保たれます。

比べることエフェクト版レイヤースタイル版
主な設定場所エフェクトコントロールタイムラインのレイヤースタイル
今回の変形との関係影を付けた結果ごと、回転・拡大する回転・拡大した形に影を付ける
主な項目カラー・不透明度・方向・距離・柔らかさ・シャドウのみ描画モード・カラー・不透明度・角度・距離・スプレッド・サイズ・ノイズなど
他の加工との組み合わせエフェクト一覧の中で順番を決められるエフェクト一覧の途中へは挿入しない
影の合成適用レイヤーの描画結果の一部として扱う影自体の描画モードで下のレイヤーと合成できる
向いている使い方の例テロップへ手早く影を付ける、影を含めて後段のエフェクトで加工する回転するカードの影の向きを保つ、スプレッドや描画モードも調整する

標準的な処理順を簡単に書くと、エフェクト → レイヤーのトランスフォーム → レイヤースタイルです。これはAdobeのレイヤースタイルの説明にもある違いです。ただし、連続ラスタライズや折りたたみ変換、プリコンポーズの内外で条件が変わるため、今回の通常2Dプリコンポの比較として見てください。

比較動画と同じ設定にする

項目今回の設定
共通の元カード340×220pxの透明素材。カード本体は300×180px
比較用の個別コンポ700×500px。素材の位置は[350,250]
影のカラー/不透明度/距離両方とも黒/70%/32
エフェクト版方向135°、柔らかさ8、シャドウのみOFF
レイヤースタイル版描画モード「通常」、角度135°、サイズ8、スプレッド0、ノイズ0、包括光源OFF
共通の回転キー0・0.75秒:0°、3秒:45°、5.25・6秒:0°
共通のスケールキー0・0.75秒:100%、3秒:130%、5.25・6秒:100%
補間/比較画面への配置すべてリニア。個別コンポを外側の比較画面へ80%スケールで配置
  1. 同じカード素材を使う2つのコンポジションを作り、片方にはエフェクト版、もう片方にはレイヤースタイル版だけを追加します。両方を同じレイヤーへ重ねないようにします。
  2. 上の表の影を設定します。スタイル版の包括光源はOFF、スプレッドは0、描画モードは「通常」です。
  3. カードの回転とスケールへ、左右で同じキーフレームを設定します。
  4. 3秒付近で停止して、カードの下や右側に出る影の向きを比べます。回転・拡大しているのはカードだけで、影の方向や距離の値は固定です。

「柔らかさ」と「サイズ」は、同じ数値で完全に同じ影になるとは限りません。また、エフェクトの「方向」とスタイルの「角度」は、数値の丸写しだけで向きを判断しないようにします。今回は135°で右下へ落ちる状態から比較しました。初期値の違いを、そのまま機能の優劣と考えないことがポイントです。

基本設定:まずは控えめな影を付ける

項目役割基本例
シャドウのカラー影の色黒
不透明度影の濃さ50%
方向影が落ちる向き135°
距離元の形から影を離す量基本の目安20。動画では4→36→4
柔らかさ影の境界をぼかす量18
シャドウのみ元の絵を隠し、影だけを表示OFF
  1. 文字やカードの素材を親コンポへ配置し、エフェクト版のドロップシャドウを追加します。背景は別レイヤーにしておきます。
  2. 不透明度50%、方向135°、距離20、柔らかさ18を出発点にします。実際の文字サイズや背景に合わせて調整してください。
  3. まず距離で離れ方を決め、柔らかさで境界を整え、不透明度で濃さを抑えます。すべてを強くすると、不自然に浮いた印象になりやすくなります。
  4. 基本動画と同じ動きにするなら、距離へ0・1秒に4、3秒に36、5・6秒に4のリニアキーを打ちます。カード自体の位置は固定しています。
AEエフェクトコントロール。ドロップシャドウ不透明度50%、方向135度、距離36、柔らかさ18。
基本例の3秒時点。距離だけを動かしている状態です。

主要パラメータを一つずつ比較

同じカードを85%スケールで表示し、各図では1項目だけを変更しています。変更しない値は、黒・不透明度50%・方向135°・距離20・柔らかさ20・シャドウのみOFFです。

不透明度:影の濃さ

影の不透明度20・50・80%を比較。
不透明度だけを20/50/80%へ変更。

高いほど影が濃くなります。背景と文字を分離する目的なら、濃くする前に距離や柔らかさも確認します。レイヤー全体の不透明度と、影の不透明度は別の設定です。

距離:形と影の離れ方

ドロップシャドウの距離4・20・48を比較。
距離だけを4/20/48へ変更。

大きくすると影が離れ、素材が背景から浮いたように見えます。これは見た目の演出であり、3D空間の実際の高さを計算しているわけではありません。エフェクト版では、この後のレイヤースケールでも画面上の距離が変わります。

柔らかさ:境界のぼけ方

影の柔らかさ0・20・60の比較。
柔らかさだけを0/20/60へ変更。

0は硬い輪郭、値を上げると境界が広がった影になります。柔らかくしすぎると影が薄く見えるため、不透明度と合わせて整えます。

方向:影を落とす向き

影の方向45・135・225度を比較。
エフェクト版の方向だけを45/135/225°へ変更。

複数の文字や図形を同じ画面で使うときは、影の向きをそろえるとまとまりやすくなります。レイヤーを回転する場合は、今回のエフェクト版とスタイル版の違いも確認してください。

シャドウのみ:影だけを取り出す

元のカード、通常の影あり、シャドウのみを並べて比較。
エフェクト版の「シャドウのみ」をONにすると、元のカードを描かず影だけを表示できます。

影だけを別の見せ方にしたい場合に便利です。元のカードも残すならレイヤーを複製し、片方を影専用にします。影が2重にならないよう、どのレイヤーに何を付けたかを確認します。

スタイル版のスプレッド:影の太さを調整

レイヤースタイルのスプレッド0・20・50%を比較。
サイズ20に固定し、スプレッドだけを0/20/50%へ変更。

スプレッドを上げると、ぼかす前の影の領域が広がり、太く詰まった影になります。サイズだけを上げたぼけた影とは印象が異なります。エフェクト版の柔らかさに、そのまま対応する項目ではありません。

応用1:背景の上でも読みやすいテロップ

同じ文字と背景を左右に配置。左は影なし、右はエフェクト版の影ありです。文字がゆっくり上へ移動します。
項目設定
文字素材560×180px。「伝わる、ひとこと。」サイズ52、クリーム色
配置先560×380pxのパネル。文字スケール94%
位置キー0・1秒:[280,225]、4・6秒:[280,185]。リニア
影の設定黒、不透明度75%、方向135°、距離5、柔らかさ10
背景AE内で作成した斜めの色帯。左右とも同じ内容
  1. 文字だけを透明背景の素材コンポへまとめ、背景は親コンポの別レイヤーにします。
  2. 文字素材のプリコンポレイヤーへ、エフェクト版のドロップシャドウを追加します。
  3. 不透明度75%、方向135°、距離5、柔らかさ10に設定します。
  4. 文字と背景の明るい部分が重なる位置で停止し、影なしの場合と見比べます。影が文字から離れすぎないよう、小さな距離から調整します。

影だけで、どんな背景でも読めるようになるわけではありません。文字が細い、小さい、背景が激しく変わる場合は、太字・縁取り・半透明の帯なども組み合わせます。

応用2:カードが浮いて戻る動き

カードを上へ動かしながら拡大し、影を離して柔らかくします。その後、元の状態へ戻す作例です。
項目0・1秒/5・6秒の基準状態3秒の浮上状態
位置[640,435][640,360]
スケール130%145%
影の不透明度40%25%
影の距離842
影の柔らかさ1242
方向/カラー135°/黒固定
補間すべてリニア同じ時刻へキーをそろえる
  1. 基本のカード素材を親コンポへ置き、エフェクト版の影を追加します。
  2. 0秒と1秒に、表の基準状態のキーを打ちます。位置・スケール・影の不透明度・距離・柔らかさが対象です。
  3. 3秒に浮上状態のキーを打ちます。カードを上へ動かして少し拡大し、影は離して柔らかく・薄くします。
  4. 5秒と6秒に基準状態を入れ、元へ戻します。
  5. カードと影の変化が同じタイミングになっているか再生で確認します。今回の距離や柔らかさはエフェクト内の値で、レイヤースケールによる見かけの変化も加わります。
浮くカードの3秒時点。不透明度25%、距離42、柔らかさ42のエフェクト設定。
カードが最も浮いた3秒時点の設定。影の方向は固定しています。
位置・スケールと影の不透明度・距離・柔らかさのキーフレームを同じ時刻に配置したAEタイムライン。
実際のタイムライン。影もカードと同じ時刻で変化させています。

この影はカードのアルファ形状から作ったものです。床に投影する物理的な影ではないため、複雑な3Dの接地や他の物体との相互作用が必要な場合は、3Dライトなど別の方法を検討します。

どちらを使うか迷ったときの目安

やりたいこと・症状選び方・確認すること
文字へシンプルな影を付けたいまずはエフェクト版で濃さ・距離・柔らかさを調整
回転するカードの影を同じ方向に保ちたい通常の2Dプリコンポならレイヤースタイル版を試す
影の描画モードやスプレッドも使いたいレイヤースタイル版
影を付けた後で別のエフェクトも掛けたいエフェクト版ならエフェクト一覧の順番で組み立てやすい
エフェクト版で影の向きを固定したい回転を内側のプリコンポで済ませて外側へ影を付ける、またはトランスフォームエフェクト→影の順を検討
影だけがほしいエフェクト版はシャドウのみ。スタイル版では合成オプションの塗りの不透明度を0にして影を残す方法もある
スタイル版の角度を変えても動かない包括光源を使用がONなら、そのレイヤーの包括光源の角度を確認
影と素材の両方が消えたレイヤー全体の不透明度を0にしていないか確認
写真の四角全体に影が付いた影は透明部分を除いた形から作られる。切り抜きやマスクの状態を確認
影が端で切れる親のコンポやプリコンポ内の余白、後段のマスク・エフェクトを確認

レイヤースタイルの包括光源は、同じレイヤー内の対応するスタイルで光源設定を共有するためのものです。複数のレイヤーが自動で同じ角度にそろう設定、と考えないようにします。今回の比較ではOFFにしています。

どちらが常に高品質、という選び方ではなく、変形との順序と、必要な調整項目から選ぶと分かりやすくなります。ほかのエフェクトはAEエフェクト辞典から探せます。

作例プロジェクトをダウンロード

ドロップシャドウ 作例プロジェクト v1.0(ZIP・約178KB)

基本の影、エフェクト版とレイヤースタイル版の回転・拡大比較、パラメータ比較、テロップ、浮くカードを収録した編集可能なAEPと「はじめに.txt」です。After Effects 26.5/8bpcで作成。外部素材・追加プラグインは不要です。

フォントはヒラギノ角ゴシックとArial。フォント本体は含みません。環境にない場合は置き換えてください。

学習・個人制作での利用と改変は可能です。商用利用は個別にご相談ください。

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この記事を書いた人

フリーランスとしてPASを運営し、モーションデザインや映像制作を中心に活動しています。

映像をつくることだけでなく、情報をどう捉え、どう組み替え、どう伝えるかという「編集」に関心があります。

また、越境学習に関わる現場にも参加し、対話や問いを通じた学びの場づくりにも取り組んでいます。

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