CC Bend It|根元を決めて曲げる基本設定と、しなる矢印・揺れる植物への応用

CC Bend It:根元を決めて、しなやかに曲げる。Start・Endと動きの基本。

矢印をしならせる。植物を根元から揺らす。そんな、一枚の素材を柔らかく曲げる動きを作れるのが、ディストーションカテゴリーのCC Bend Itです。回転とは違い、素材そのものの形が曲がります。

今回は縞模様の棒で仕組みを確認し、しなる矢印と、風に揺れる植物へ展開します。Bendの値だけでなく、Start・Endの位置と、範囲外を表示する設定まで比較します。

Start・Endのところが、最初はややこしく感じますが、これを読めば理解できるはず!

この記事の作例プロジェクトと利用条件は、記事の最後の配布欄にまとめています。

目次

完成例:根元を残して、棒を曲げる

左:変形前。右:CC Bend Itを適用して、Bendを0→40→-40→0と変化させています。6秒・音声なし。

右側の棒は位置・回転を動かしていません。同じStart・EndのままBendだけを動かすと、根元からしなる動きになります。縞模様も一緒に曲がるので、単に傾けた場合との違いが分かります。

CC Bend Itの場所と、Start・Endの役割

追加する場所は[エフェクト]→[ディストーション]→[CC Bend It]です。

Startは曲げ始める位置であり、曲げの支点。Endは曲げる範囲の端です。最初にこの2点を素材の根元と先端へ置き、そのあとBendを調整すると整理しやすくなります。点を動かすだけで曲がるわけではなく、Bendが0なら変形しません。

まっすぐな棒の下端にStart座標640,550、上端にEnd座標640,230を配置した図。
今回の棒は下から上へ伸びています。Startを根元、Endを先端へ置いた状態。
項目今回の条件
AEAfter Effects 26.5(macOS)/8bpc
コンポジション1280×720/30fps/6秒
素材透明背景の1280×720プリコンポジション。中央に幅88・高さ320の棒
棒の位置X=640、上端Y=230、下端Y=550
適用レイヤー素材プリコンポを同じ大きさのコンポへ配置。位置[640,360]・スケール100%・回転0°

まずはこの設定から

設定基本例の値役割
Bend0 → 40 → -40 → 0曲がる量と方向
Start[640,550]棒の下端。曲げの支点
End[640,230]棒の上端。曲げる範囲の端
Render PrestartStaticStartより手前を曲げずに表示
DistortExtendedEndより先も素材の範囲まで表示
CC Bend Itの実設定画面。Bend40、Start640,550、End640,230、Render Prestart Static、Distort Extended。
基本例の2秒地点。Start・Endの座標は、上の素材条件とセットで参照してください。

今回の座標は1280×720の素材に合わせたものです。サイズや配置が違う素材へ、そのまま数値をコピーするのではなく、根元と先端を見て置き直してください。

比較1:Bendで、曲がる向きと量を変える

Bend-40、0、40の比較。負と正では棒が反対方向に曲がる。
Start・Endと表示設定を固定し、Bendだけを変更。

Bendが0ならまっすぐ。正と負で曲がる向きが変わります。まずは小さな値から増やし、素材の形が読める範囲を探します。大きな値ほどよいわけではなく、細い文字や小さな図形では変形を控える方が見やすい場合もあります。

比較2:Startで、曲がり始める場所を変える

StartのY座標550、430、310の比較。上へ移すほど、根元側のまっすぐな部分が長く残る。
Bend40・End[640,230]・Render Prestart Static・Distort Extendedを固定。

Startを棒の途中へ移すと、そこから先が曲がります。今回はRender PrestartがStaticなので、Startより根元側は曲げずに残る点にも注目してください。Startを動かすとEndまでの距離も変わるため、曲がり方も変わります。

比較3:Endで、曲げる範囲を変える

EndのY座標230、350、450の比較。同じBend40でも、EndがStartへ近づくと曲がり方が変化する。
Bend40・Start[640,550]・Render Prestart Static・Distort Extendedを固定。

Bendの数値が同じでも、StartとEndの位置関係で結果は変わります。強く巻き込まれるときはBendだけでなく、2点の距離が素材に対して短すぎないかも確認します。Endを先端へ戻して、基本の状態から調整すると原因を追いやすくなります。

比較4:素材の一部が消えるときは、範囲外の設定を見る

Render Prestart:Startより手前の表示

Render PrestartのNone、Static、Bendの比較。Noneは根元側が消え、Staticはまっすぐ残り、Bendは根元側まで曲がる。
Startを棒の途中[640,430]に置き、Bend40・End[640,230]を固定して比較。
選択肢役割
NoneStartより手前を表示しない
StaticStartより手前を曲げずに表示
BendStartより手前も曲げ続ける
MirrorStartを境に、Start〜End間の曲がった素材を鏡像で表示する設定。今回の比較図では未使用

根元を残したいときはStaticが出発点になります。「手前」はStart→Endの向きに対して決まり、常に画面の下側という意味ではありません。今回の縦向きの棒では、Startより下側が該当します。

Distort:Endより先の表示

DistortのLegalとExtendedの比較。LegalはEndより先が表示されず、Extendedは素材の先端まで表示される。
Endを棒の途中[640,350]に置き、Bend35・Start[640,550]で比較。

LegalはEndより先を表示せず、Extendedは素材の範囲まで表示します。Extendedは素材の外側へ無制限に描画領域を広げる設定ではありません。消えている原因がEndの範囲なのか、プリコンポや最終画面の端なのかを分けて確認します。

作り方:棒を左右にしならせる

  1. 1280×720・30fps・6秒の素材コンポジションを作り、透明背景の中央へ縦長の棒を置きます。基本例は幅88・高さ320、根元[640,550]・先端[640,230]です。
  2. 同じサイズの別コンポジションに素材コンポを配置し、そのレイヤーへCC Bend Itを適用します。位置・スケール・回転は上の表の条件に揃えます。
  3. Startを[640,550]、Endを[640,230]へ置きます。Render PrestartをStatic、DistortをExtendedにします。
  4. Bendを0にして変形前を確認したあと、下の時刻と値でキーフレームを打ちます。
  5. 動かすキーにイージーイーズをかけ、必要に応じて速度グラフを調整します。配布版は各キーの速度0・影響65%で、曲がった位置で一度止まる往復です。
時刻(秒)Bend
0.00
0.50
2.040
4.0-40
5.50
6.00(末尾の境界キー)

応用1:しなる矢印で、次の情報へ誘導する

矢印の根元を残して、50→-24→12→-6→3→0と曲がりを小さくしています。6秒・音声なし。

棒を、図形で作った矢印へ置き換えた作例です。右側のNEXTは別レイヤーなので変形しません。戻るたびにBendの絶対値を小さくすると、弾力を感じる動きにできます。物理計算ではなく、キーフレームで作った演出です。

設定矢印の値
Start/End[640,560]/[640,220]
Render Prestart/DistortStatic/Extended
Bendのキー:秒→値0→0、0.5→0、1.2→50、1.9→-24、2.6→12、3.3→-6、4.0→3、4.7→0、6.0→0
補間速度0・影響65%で各キーを調整
矢印に適用したCC Bend It。Bend50、Start640,560、End640,220、Static、Extended。
矢印の1.2秒地点。根元と先端へStart・Endを置き直しています。
  1. 透明背景の素材コンポに、矢印の軸と先端を作ります。今回の矢印はAEの図形で構成しています。
  2. 基本例の素材を矢印へ置き換え、Start・Endを矢印の根元と先端へ調整します。
  3. Bendへ表のキーを設定し、振れ幅が徐々に小さくなるようにします。添える文字は変形用プリコンポの外へ置きます。

応用2:植物の根元を残して、風に揺らす

Bendは0→14→0→-14→0。茎と葉だけを一緒に曲げ、鉢と背景は動かしていません。6秒・音声なし。

茎と葉を一つの素材コンポへまとめ、CC Bend Itをかけています。鉢・地面・説明の文字は変形の外へ置くと、植物だけが風に揺れる場面を作れます。基本例よりBendを小さくし、ゆっくり往復させました。

設定植物の値
Start/End[640,565]/[640,240]
Render Prestart/DistortStatic/Extended
Bendのキー:秒→値0→0、1.5→14、3.0→0、4.5→-14、6.0→0
補間速度0・影響65%。中央でもいったん止まる、穏やかな往復
植物に適用したCC Bend It。Bend14、Start640,565、End640,240、Static、Extended。
植物の1.5秒地点。Startは鉢に接する茎の根元付近です。
植物のBendキーフレーム5つを表示したAEタイムライン。0、1.5、3、4.5、6秒へ配置。
植物のBendキー。横長の実画面はタップして拡大できます。
  1. 茎と葉を透明背景の素材コンポへまとめます。鉢は、最終的な見せ方を組むコンポへ別に置きます。
  2. 素材コンポへCC Bend Itを適用し、Startを茎の根元、Endを植物の上端付近へ置きます。
  3. Bendを表の値で動かします。鉢との接続がずれるときは、まずStartを確認し、揺れを小さくして調整してください。

つまずきやすいところ

素材の一部が消える・途中で切れる

まずBendを0へ戻し、Start・Endの位置を確認します。そのうえでRender PrestartとDistortを確認してください。点を素材の途中に置いた場合、NoneやLegalでは範囲外が表示されません。最終画面の端で切れる場合は、素材を収めたプリコンポの余白や配置も見直します。

根元まで動く・曲がり方が想定と違う

Startが支点にしたい場所からずれていないか、Render PrestartがBendになっていないかを確認します。同じBendでも2点の距離と向きで見え方が変わるので、素材を差し替えたときはStart・Endを再調整します。

配置を変えたら、設定を追いにくくなった

今回の作例は、素材と変形用コンポを同じ1280×720に揃え、変形するレイヤーは位置・スケール・回転を固定しています。完成した変形用コンポをさらに別コンポへ入れて、その外側で配置やサイズを調整すると、曲げの設定と画面上の配置を分けて管理できます。

どんな素材にも同じ設定で使える?

一つの軸に沿って素材を曲げたいときに使いやすいエフェクトです。関節ごとに違う動きを作る、複数の場所を別々に変形する、といった場合はパペットなど別の方法も検討します。今回はCC Bend It単体で作れる範囲を扱っています。

最初は「2点を置いて、小さなBend」から

Startを根元へ → Endを先端へ → Bendを小さく動かす。この順番で試すと、しなる矢印や揺れるイラストへ広げられます。途中が消えたら、曲がる量を増やす前に、範囲外の表示設定を確認してみてください。

規則的な波を素材全体へ作りたい場合は、ディストーションの公開記事から関連する表現を探せます。

機能の参照:Adobe公式ヘルプ:Cycore plugins。本記事の作例・数値はAfter Effects 26.5(macOS)の8bpcで確認しています。

AEエフェクト辞典へ

作例プロジェクトと利用条件

基本例、Bend・Start・End・範囲外の比較、しなる矢印、揺れる植物を、編集可能なAEプロジェクトにまとめました。ZIPを解凍し、「はじめに.txt」から使いたいコンポジションを確認してください。

確認環境:After Effects 26.5(macOS)/8bpc/1280×720・30fps・6秒。外部素材・追加プラグインは不要です。他のAEバージョンやWindowsでは未検証です。

使用フォント:Hiragino Sans W6、Arial Bold。フォント本体は同梱していません。お使いのフォントに置き換えた場合は、文字の位置や改行を確認してください。

利用条件:学習・個人制作での利用と改変は可能です。商用利用は、事前にお問い合わせから個別にご相談ください。

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この記事を書いた人

フリーランスとしてPASを運営し、モーションデザインや映像制作を中心に活動しています。

映像をつくることだけでなく、情報をどう捉え、どう組み替え、どう伝えるかという「編集」に関心があります。

また、越境学習に関わる現場にも参加し、対話や問いを通じた学びの場づくりにも取り組んでいます。

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